ラグナの経済学
えっと、はじめに断っておきますが、うちはマクロ経済学も実際の経済学もまったく知らないです。
nopiさんとこで、マイグレーションによるインフレとかデフレの話がでてたので、そのレスとして書こうと思ったんだけど、長くなっちゃいそうだったので。
ラグナの世界では、無限に沸いてくるモンスターを倒して、そのドロップ品を売ることで収入を得ています。他のMMORPGみたいに、鉱山掘ったり木切ったり魚釣ったりで収入得ることはできませんので。あ、でも、ビンボーなうちは、草を摘んで生計立ててる人もいるかもですね。うちも新しいサーバにいったら、そうしますし。
でもって、ラグナの世界では、食料食べなくてもおなかが減りませんので、生活費と言いますと消耗品なのです。
消耗品には、ミルクやお肉や白ポなどの回復剤、速度ポーションや蝶の羽ハエの羽などの狩り必需品、矢や青ジェムなどの触媒や消耗武器が在ると思います。
収入でこれをまかないきれなければ赤字になって、生活していけなくなりますが、まあLVの低い狩場で狩りをつづけるなり、回復能力のあるキャラとパーティ組むことでほぼ解決できます。
これらはラグナ生活の基盤になって、商人さんの露天でも決してなくなることは無い基本商材ではありますが、やっぱりラグナ経済の中心となるのは、レアや装備品などでしょう。
レアにも、可愛いかっこいい系の趣味装備と言われるものと、実用品でありつねに一定の換金価値のある不動産のような装備品があります。
趣味装備の例をあげるならば、ねこ耳、うさ耳、大きなリボン、看護婦帽、スイートジェントル、クラウンなど。LUKが上がるなどの多少の恩恵はあるものの、ほぼその供給量によって値段が決まると思われます。
実用系の装備品では、ウィスパC挿し防具（通称木琴）、各種種族の三減盾*1、特化武器*2や属性武器*3、ヒールクリップ*4やフェンクリップ*5などの特殊装備は常に一定の需要を持ち、換金可能な財産となっています。
それとは別に、最終装備と呼ばれるような高級品があります。トリプルクリティカルジュル*6やマミーC*73枚挿し4枚挿し武器、各種過剰精錬武器防具などです。
さてこれらの商材のなかで、消耗品に関しては各サーバでほとんど差がありません。NPCのお店で売っている値段が決まっていて、商人の値引きで下がる値段が決まっているため、それ以上値下げしたら利益の出ない線がはっきりしているからです。
街中ならば、店売り最安値から1zか2z引いた値段で、狩場では少し高めに並んでいます。白ポーションやイグドラシルの葉などは、敵がある程度まとまって落としたり、自作可能だったりで多少安く売っている店もあります。ローヤルゼリーやらイグドラシルの種などの高級回復剤については、多少の値段の触れ幅がありますが。
趣味系の装備品は、アイテムを落とす敵によって値段ががらっと代わってきます。
ねこ耳はスモーキー(たぬきのモンスター。初級の敵)がドロップし、700k〜800kの値段で取引されています。うさ耳の材料にもなりますが、実用性は皆無です。それでも欲しがる人はたくさんいます。
大きいリボンはトード(カエルの中BOSSで時間沸き）とワイルドローズ(猫のモンスター。回避が高い中級ランク以上の敵。)のドロップです。弱いとはいえ中BOSSで一定時間にしか沸かないトードしか落とさなかったころは、何十Mもする高級品でした。コモドでワイルドローズが実装される噂がでたころから下がり始め、1M前後まで値下がりし、現在では200k〜300kで落ち着いています。
それに対して、いまだに時間沸きの(弱い)中BOSSしか落とさないオールドスターロマンスは供給量からいまだにメガレアです。MVPボスドロップのクラウンなどは20Mもします。
実用系装備品も、おもに供給量によって値段が決まるわけですが、流行廃りがあります。木琴装備、三減盾などはいつかは欲しい高級品ではなく、中級から上級にステップアップするにあたってあると非常に便利なものなので、常に人気があります。
しかし回避力を20%あげるウィスパCも、AGI型がもてはやされるコモド以降で大流行し(それ以前だって需要はあったわけですが)、VITがもてはやされるGvGが実装してしばらくたった現在では、すこし値下がりしました。それでも、ゲフェンダンジョンからウィスパがいなくなった現在でも2M前後で露天に並んでいます。アサシンのスキルが強化されるらしいので、新規にアサさんを始める人の需要が今後高まるかもしれません。
高級装備品には、過剰精錬武器防具、BOSSドロップの頭装備品、青箱紫箱限定の超レア装備、BOSSカードなどがあると思います。
過剰精錬に関しては、コモドショックを避けて通れないでしょう。コモドパッチ以降、精錬に関するルールが変更になりました。以前は精錬に関して、失敗した場合もその＋分がなくなるだけだったのが、コモド以降は失敗した武器防具が壊れてなくなるようになってしまいました。そして、精錬に必要なオリデオコン、エルニウムのドロップ率が大幅にアップしました。
オリデオコン、エルニウムはそれぞれ、オリデオコン原石(オリ原)、エルニウム原石(エル原)5個から合成されます。また、すでに塊の状態で落とす敵も居ます。以前はエル原は100k以上の高級品でしたが、いまでは15k前後になっています。
これによって防具精錬がごく一部の高LVのプレイヤーから一般プレイヤーまで普及した反面、高LVプレイヤーによる過剰精錬ブームを巻き起こしました。
過剰精錬に失敗した場合、武器防具は消失するため、カードを挿さずに過剰精錬を行います。そのため、スロット付武器防具、特に防具の需要があがり価格が高騰しました。
S付防具のドロップ率も低く設定されなおしたため、Sマフラー、Sブーツ、Sメイル、Sシールド、いずれも高級品になっています。以前は40kでも売れなくて店売りしていたSバックラーが今では600kとかいう値段がします。Sマフラーも1M近くまで値上がりしています。
これらの多大な犠牲によって作られた過剰精錬S武器防具が、露天に何十Mという値段で並ぶことになります。
過剰精錬装備はその成功率の低さとかかる元手の多さから高級品になっていますが、超高級装備品は単純に供給量の少なさから高価になっています。
マミーCやハンターフライCやソルスケCなどの2Mを超すようなカードを+8や+9のS武器に挿したりすることで、自然に高級品になります。また青箱限定やBOSSドロップ、砦宝箱限定品やBOSSカードなどは入手確率の低さから、場合によっては60M〜100Mを超える値段すらつきます。想像もつきませんね。
さて、こんなかんじでラグナの経済は成り立っております。簡単に歴史？経済史？を振り返った部分もありますが、見てのとおりモンスターやマップの追加、スキルやラグナロクの仕様の変更で簡単に相場状況は一変しています。各種カードの値段も、カード効果変更によってがらっとかわったものもあります。変わらなかったものもありますが。
新2次職が実装されたときにはその需要で相場が上がった武器もありました。敵スキルの実装で今まで見向きもされなかったカードやアイテムに注目があつまったりもしました。GvGが実装されて高級回復剤や枝などの需要が上がり、また下がりました。アマツで鉄が、コンロンでマステラの実やローヤルゼリーが安定供給されるようになり、値下がりしました。
パッチは変更によって相場は動き、韓国の先行情報やスキル変更で人気や流行が変動する。それに伴って相場も動きつづけます。
さてこのようなラグナ経済のなかで、マイグレーションによって影響を受ける商材はなんでしょう？
生活必需品系については、相場の変動を恐れる必要はほとんどありません。新鯖、旧鯖、どこででもほぼ一定の値段で供給されています。
大きな儲けはないものの確実に需要は存在し、着実に利益を上げることができます。リディアでもプロンテラ南、西カプラ前、下水ダンジョン前の露天のミルクなどは常に売り切れ状態です。
自分専用のお抱え商人をもつプレイヤーが増えたとはいえ、商人を持たない初級〜中級のプレイヤーにはありがたい存在です。とくに露天商人の少ない新鯖では、もてはやされていることでしょう。
趣味装備については、旧鯖(第一期サーバ)、旧新鯖(第二期サーバ)ではそれほど目立った価格の差がないものの、新鯖(第三期サーバ)では安めの値段設定になっています。これは供給量は少ないものの、それを欲しがるプレイヤーの絶対数が少ないため、安めの設定にしないと売れないのでしょう。
BOSSドロップ系の高級趣味装備については、新鯖での相場状況は詳しくわからないのですが、比較的供給されているねこ耳や大リボンについてはそのように感じました。
次に実用品系装備ですが、これも旧鯖にくらべて新鯖では安めの価格設定になっているようです。
供給量も少ないが需要も少ない、また移民してきたキャラ意外の経済水準や資産が少ないため、安価で露天に並べないと売れないのでしょう。
マイグレーションAプランによりアイテムとキャラが複製された場合、移民する人間が手放すことによってこれらの中級装備は、市場に出回ることになるでしょう。
それに加えて、現状と同じ割合で算出も続けられます。この場合、これらのアイテムの相場はどうなるでしょう。
露天に一斉に装備が流出した場合、おそらく一時的に価格は下がるでしょう。しかし、これらの装備を欲しがる人がなくならない限り、産出量よりも需要が高い限り過剰になることはありません。
これらのアイテムは過剰精錬によって消失するか、キャラといっしょに消去される等で減りはするものの、基本的に市場、またはキャラの資産として保持されます。
にもかかわらず、旧鯖、旧新鯖、新鯖、いずれにおいても、全員に行き渡ってまったく売れなくなったと言う話は聞きません。これは自主的移住を含めた新規参入キャラのによる需要が、今のところまだ供給を上回っているのでしょう。BOTによる安定供給を含めてさえ。
むしろこれらの装備の相場は、供給量よりも人気によってより変動するのかもしれません。
中級装備品は必需品に近いため、アクティブプレイヤーの数に影響を受けると考えられます。ですので、Aプランによりアイテムが2つの鯖に複製され移民が行われることによって、移動する人数にもよりますが資産として所有する数が減り、商品として市場に出回る量が瞬間的に増えることになります。そして移民した人数分だけ、それらを必要とする人数、需要は下がります。
しかしながら全てのプレイヤーがこれらの装備を購入できる経済状況に居るわけではありませんので、一時的に飽和状態にはなると思います。しかしいずれ、一定の価格で安定して露天に供給されるのではないでしょうか。
最後に、10Mを超す高級品について。これらの装備も手放す人がでるため、多少、相対的な価値は下がるでしょう。しかしもともと、これらの高級品をやりとりできるプレイヤーはごく一部ですので、いわゆる全般的な市場に与える影響は、ほとんどないのではないでしょうか？
豊富な資産をもったプレイヤーが、露天に並ぶ特定の商品を買い占めて市場の流通をなくして一時的に品薄状態にして、相場を操作しようと試みもいろんな鯖で多数の人が試みました。しかし、産出・供給するのは各サーバにすむ何千、何万人のプレイヤー(+BOT)ですので、安価で露天に並べるのを24時間体制で監視できるわけでは在りません。
産出量の少ないものについては1週間〜数週間単位で高値をつけることもありますが、その場合でも時間をかけて探せば安いものが見つかります。いまだに相場を知らずコモド以前の値段で露天に出している掘り出し商品もあるぐらいですから。
パッチによる価格変動などもあり、何ヶ月や1年といった期間で相場を支配するのは難しいでしょう。臨時パーティや仲間内では、相場を無視した安価でやり取りするわけですし。
オークヒーローC、黄金蟲Cなどの超高級品は、移住元サーバと移住先サーバに複製されるため、一見増えたように見えますが、サーバ内での絶対数が変わるわけではありませんし、供給量についても変化はありません。
ただ、どれだけ手に入れたいと思っても手放す人がなければ手に入らないレアモノだったので、高値がついていました。
Aプランが実行された場合でも、これらのCの値段はほとんど変化せずに取引されるのではないでしょうか？ 絶対的な希少性とその効果からつけられた値段ですし。
移住によってそのサーバの、それらの商品を取引できる高レベルのプレイヤーは減りますが、LVをあげて資産を増やす次の候補も、サーバ内の高LVプレイヤーの数も増えつづけるわけですから。
こういった超レアアイテムに対して、過剰精錬装備類はこれからも安定供給されつづけるでしょう。S装備が高くなったとはいえ安定供給されていますし、確率は低いもののお金さえかければ成功する可能性があります。
成功率自体がBOSSレアドロップと同じぐらいだとしても、実際にBOSSを狩って倒してアイテムを自分で手に入れるのに比べればずっと楽なのは間違い在りません。
そして過剰精錬はギャンブルにも似た、それでいて青箱よりもずっと可能性の高い一攫千金なのです（元手もかかりますが）。過剰精錬のまさに特需で、これからもS武器防具はいくつも消費され消失していくでしょう。しかし過剰精錬装備は、これから上級プレイヤーを目指す人にとって、GvGに参加するプレイヤーにとっては必需品であり、プレイヤーのLVが上がり資産が増えることによって、これからも着実に需要を伸ばしつづけるでしょう。
これによって、相対的に精錬装備の値打ちがあがり、超レアアイテムが価格変動はないにしても値打ちが下がる可能性もあるのではないでしょうか。
上級装備、超レアアイテムなどは、自力で手に入れられないという点で一番、価値があったのだとおもいます。
過剰精錬装備も、自分で成功する自信がないため、多少高い値段を出してでも買い揃える人も多いでしょう。これらも供給量が増えてプレイヤーの平均LV(もしくは全プレイヤーに占める高レベルプレイヤーの割合)が上がってくることによって、現在の中級装備のような形で落ち着くかもしれません。
なんだか、風呂敷を広げすぎて、まとめにくくなってきちゃいましたが、最後に。
私は、Aプランの実行によって、ラグナの経済がリアルのように崩壊することは、無いだろうと考えています。
売り手と買い手の折り合いがつくところで、値段が決まる。それが相場だと思います。局所的な価格操作の影響などがでることがあっても、オフラインのRPGのようにすぐに最強の装備が揃えられてボスでもなんでも簡単に倒せるようになるわけでは在りませんので。
装備や資産があれば、多少楽にゲームを進めることができますが、それも大半はプレイヤーの知識による部分が大きいと思います。
先日、プロ南の広場で、プレイ期間約3ヶ月の初心者さんに出会いました。LV12剣士の狩場を教えてください、というチャットを立てていました。
話を聞くとプリさんを持っているものの、前衛さんが初めてで狩場が分からないということでした。
プリさんがいるということなので、装備が流用できるんじゃないかと聞いてみると、店売りロッドとプパアドベンチャースーツしか持っていないようです。
おまけに回復アイテムの存在も、その使いかたもあまり知らず、ヒールが使えないために前衛は怖いといっていました。
属性武器のことや、剣士のスキルの説明、二次職の解説などひととおりした後、うちのLV12商人といっしょに下水ダンジョンに行ってきました（ついでに終わってからギルドに勧誘しましたｖ）。
知識も資産もありませんが、彼女は、今一番楽しい時期だと思います。MMORPGは、キャラクター、装備、システム、狩場、魔法など様々な知識を得ることによって、プレイヤーがレベルアップしていけるゲームだと思います。
その成長過程における、苦労や無駄を楽しむゲームだと思います。目標はあっても、明確なクリアはありませんし、LV99は一つの最終目的ですが、それすら全ての終わりではありません。成長、試行錯誤、達成、そして仲間との交流によって、ゲームは成り立っているのだと思います。
商品のやりとり、流通・経済というのは、まったく知らない誰かとのやり取り・交流なのかもしれません。
そして経済や相場は、商品を取り扱う商人達と、システムの中で自然に形成されていくのだと思います。
……何を言いたい文章なのか、分からなくなっちゃった＞ｗ＜
